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高森明勅
2010.9.2 14:45

靖国神社は甦るか?だって。

古本屋でこんなタイトルの本を見かけた。

『国家神道・靖国神社は甦るか』だと。

思わず「そんなもん、甦るはずないだろ!」と心の中で突っ込んでしまった。

著者も版元も確認していなければ、中身も1ページだって開いていない。

はっきり言って、本棚に収まっている背表紙をチラッと見ただけ。

だから、批判も反論も出来ないわけだが、このタイトルはないだろう、と思った。

普通、単行本のタイトルは版元が決める。

だが、必ず著者も同意しているはず。

まず、いわゆる「国家神道」が甦るか?

だが一体、誰がその復活を望んでいるのか?「国家」サイドは望んでいない。

政府も国会の多くの政治家も、「国家神道」を「甦らせよう」などとは、夢にも思っていない。

一方、「神道」関係者はどうか。

意外に思う人がいるかも知れないが、じつは同じように、望んではいないのだ。

何故か?

「国家神道」はその実態面で、宗教的伝統を軽視した「官僚支配」(心が伴わない形式主義!)の傾向が強かったからだ(葦津珍彦氏『国家神道とは何だったのか』神社新報社、ほか)。

次に、靖国神社はどうか?

靖国神社は今も、滅んでもいなければ、滅びかけてもいない。

滅んでも滅びかけてもいないものが「甦る」なんて、もともとあり得ない話だ。

一生懸命、書き上げたはずの自著に、こんな読まずに瞬殺されるようなタイトルをつける神経が、私には分からない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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